2007年11月9日金曜日

RSファンという生き方 Fever Pitch(米映画2005年)[邦題:2番目のキス] 11月9日

ボストンという土地と縁が出来てしまったのは十年以上も前の1994年だったが,当時は単に成田空港に向かうための中継地で,90年代末に再渡米後の定住地域になるまで,RSに関しても球団名を知っている程度だった.その後,ボストン近在の年数が増すに従い,RSに関する情報も厚みを増し,RSN市民の精神構造は阪神タイガース・ファンのそれと類似点が多いことを悟る.週刊SPA!に「できるかな」を不定期連載中の漫画家西原理恵子の仕事仲間に新保信長という大阪は梅田の生まれで東大卒の流し(フリー)の編集者がいる.彼は身体の何処を切っても黄色と黒の阪神汁が出ると宣ふ程の阪神タイガース・ファン.彼の著書『タイガースファンという生き方』(1999年)には,西原理恵子が描いた漫画「阪神ファン新保くんとわたくし」が載せられていて,《阪神タイガース・ファン》の真骨頂が要領良くまとめられている[因みに,当該漫画は西原理恵子の『できるかな リターンズ』(2000年)に再録された].2004年10月まで,RS Nationの市民の生き様は,この新保信長氏の生き様と多分に重なっていて,先月職場の同僚に無理矢理貸付られてDVDを見る羽目になった米映画Fever Pitchの主人公Benもその様な一人として描かれている.この映画については制作中から地元ニュース等で知っていたが,米国のボストン或いはニュー・イングランド以外の土地ならまだしも,RS Nationの御当地で糊口を凌がせてもらっている者としては,身の回りにBen相当の現物が数え切れない程いるので,何を今更作り話に金を出して観る必要があるのかと相手にしていなかった.以下は,映画鑑賞後の感想のまとめ.

Benを演じる男優がBoston生まれでない(ボストン訛りで喋れない?)ので,主人公の彼は幼少の砌,両親の離婚でNJからボストンに移住という前置きを設定して此の問題をクリアー(映画の狂言廻しのナレーターはボストン訛りで喋っていた模様,例えば,グリーン・モンスターではなく,グリーン・モンスタ)

1980年のフェンウェイ球場が登場したが,現在のグリーン・モンスタの彼方此方にある広告は全く無し(これは当時のRSオーナーの意向だったようだ),勿論,数年前に建て増しされたグリーン・モンスタ上の雛壇席も無し,当時の試合の記録映像(画質が非常に悪い)を填め込んでいた.細かい話になるが,2004年のシーズン終了まで,球場脇のCITGO大看板は電光掲示ではなく照明ライトで上から照らす形式だった.1980年の試合前打撃練習のシーンでは,NESNのRS解説で御馴染みのJim RiceとDennis Eckersleyが当時の選手として出演.また,地元放送局のスポーツ担当記者等の馴染みの顔も登場していた.

DVDオマケの制作者のコメントによると,2004年WSの優勝シーンは,第4戦に一か八かで急遽出向いて,運良くリアル・タイムでの優勝シーン撮影に成功したもの.当該映画は20世紀フォックス制作だったので,Foxグループ系で2004年のWSを中継していた地上波放送網Foxと上手く折り合いがついて撮影OKになったのかも.DVDに含まれていたRS選手のコメントの中には,MLB駆け出しのユーキリスが現在馴染みの髭無しの姿で登場.後日NYヤンキーズに移ることになる,当時髭面でcaveman的容貌だったジョニー・デーモンが,RSの顔として映画の各所に登場していたことが,今は昔の物語.

Googleして当該映画の邦題が「2番目のキス」であることに吃驚.この意訳は,亡き坂本九の「上を向いて歩こう」が米国その他でSUKIYAKIと言う曲名に化けた水準までは至っていないが,もう少し捻りのある邦題が有り得たのでは?

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